遠からず、近からずで

ルームシェアという節約術

ではまず最初に取り上げたいのが、人間が自分の生活をしていくために必要となる拠点でもある住宅についてだ。一人暮らしをすることが出来ない、という人もいるはず。その背景には経済的な問題も絡んでいたり、家庭の事情で家から離れる訳にはいかないという人もいるでしょう。事情はどうあれ、生活していく上で1人ではなく第三者と一緒の共同生活を過ごしていけばまだなんとかなるのではないだろうか、そう考えている人もいるはずだ。だから友達と一緒に生活をしている人もいる、同じ屋根の下での共同生活を送る、いわば『ルームシェア』という考え方だ。

実際にしたことがある人もいるだろうが、個人的な意見で言わせてもらうと特別良いと感じる要素が見当たらないと思っている。一つ屋根の下で生活、確かに気心が知れている者同士ならそれも手段としてはありだが、一緒の生活ではプライベートな時間というのはほとんど皆無に近いと言ってもいい。恋人同士としての同棲とはまた違う、友人同士としての生活となっても色々と問題はあるものだ。それこそ他人の生活習慣に口を出さない、出してほしくないといった境界線はもちろんのこと、一緒に生活していく上でのルール決めといった点も考えなくてはならない。

最近では1つの物件を借りきって複数人の人が住まう『シェアハウス』という住み方も世の中には存在している。ここで話をしているルームシェアというものは色々な定義が存在しています、その利点について取り上げてみると、

  • メリットその1:賃貸の場合、家賃や光熱費などを折半できる
  • メリットその2:帰宅する家に誰かがいる喜び
  • メリットその3:防犯上の面から安心できる

といったことだろう。一番大きいのは賃貸住宅における家賃や光熱費などの生活に必要な費用の負担がそこまで大きくない、という点だ。残り2つについては賛否両論といった意見が飛び出てくるかもしれないが、概ねこんなところだろう。

日本では気軽に出来る、楽しい生活が待っていると謳っているルームシェアですが、この意見については何ともいえないお家芸ぽさがにじみ出ているようだ。楽しい生活が待っていると銘打っているが、それは人によって違ってくるだろう。特に中国、この国で起きているある問題を比較して考えてみると見えてくるのは、荒んだ生活模様だ。

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蟻族と鼠族

ルームシェアについて調べてみると、どういうわけか日本国外へと飛び出して中国のある話題に遭遇する。調べてみると、日本でいうところのルームシェアを行っている人々が大勢いる居住区が存在していることが確認できた。しかしそれは決して先の将来について期待を寄せている、楽しい生活が待っているといったものではありませんでした。後にそうした集団生活をしている人たちのことを、日本的に『蟻族』、またはルームシェアなどと悠長なことを言っていられない劣悪な環境での共同生活を強いられている『鼠族』といった人たちも存在している。

こうした存在がどのように社会に影響をもたらしているのかを、少し考えてみる。

蟻族とは

蟻族と呼ばれる人々が日本で確認されたのは、ほんの数年前のことだ。彼らは日本でいうところの大卒者でありながらもまともな仕事につけないがために、共同生活をしなければならない人々のことを指している。日本でも大学を卒業すれば平穏無事に就職できる時代ではなくなってきている、就職率こそ高い水準を誇っているように見えますが、その水準が本当に正しいという理由もありません。また就職できても離職という選択肢を選んでしまう人もいるため、何ともいえないでしょう。

ですがこうした日本の現状よりも、中国の大卒者たちはそれ以上に苦しい状況の中を生きなくてはならないのです。どういうことかというと、中国では就職というのはつまり自立出来るだけの経済力を手に入れる役職についた事を指す。日本と変わらないように見えますが、大企業を始めとした企業に就職できる人は全体の3割にも満たないと言われているのです。また就職できても、月々の賃金が日本円でいうところの『1万円程度』というのだから、お話にならない。これならまだ日本でアルバイトしている方がマシですが、若者全てが日本へ流れてくることも出来ない。

そんな時、1つの部屋を6~8人ほどの人でルームシェアして生活を過ごし、働ける就職先を探す若者たちが集っている集合住宅、それが蟻の巣のように例えられることから、生活している人々のことを『蟻族』と呼んでいる。

鼠族とは

しかし蟻族はまだマシな方だ、経済的に苦しくても大学を卒業しているため学はある。しかし大学に行けない人・農村から出稼ぎに来ている人などが都心部へ来ても就職先はまともに期待できない。都心でも若者は親のコネなどがなければまともな就職先を見つけることは不可能とも言われている。そうした中で地方から来た人々は働く先を見つけることも出来ず、さらに住居にしても通常の賃貸では借りつことが出来ないため、地上ではなく地下へと潜っていく。そこは窓無しで箱状の空間で最低2人での共同生活を送らなければならない、こうした点から『鼠族』と呼ばれる人々も登場してきている。

鼠族は地上での生活をしていないため、都市戸籍を所有していないために、公共のサービスが全く受けられないという点もあって、苛烈な状況だ。蟻族も楽観的に取れる問題ではないが、それ以上に鼠族と呼ばれる人々についても中国的にはよろしくないところだ。

わらしべ長者を目指す方へ

国によってはシェアする理由がこんなに違う

日本の場合だとルームシェアなどをすればこんなに良いことがあると謳っているところが多いですが、海を超えた先の国で言われるルームシェアは壮絶なものでしかない。言ってしまえば、日本人はルームシェアなどというものに大きな夢を見すぎているんだと感じさせられるところでもある。また日本では節約という面もあるかもしれないが、中国の若者たちにとってはしたくてしている節約ではない。呑気に静観している日本人もいるが、ルームシェアすることになったらそれはそれで窮屈であることは認識しておきたい。それが理解できないと、いわゆる住民トラブルへと発展してしまったりしてしまうのです。